中国、急成長の代償“通勤地獄”
< 2011年4月20日 16:39 >ブックマーク
 日本を抜いて世界2位の経済大国に躍り出た中国。豊かになる一方で、成長がもたらす新たな問題に直面している。その現状を中国総局・勝田真司記者が取材した。
 北京の中心部に立つマンションは、100平方メートルの部屋が約1億円もする。北京の大卒の平均年収は約30万円。つまり、このマンションは年収の340年分の価格ということになる。北京市内の住宅価格は高騰し、庶民の手が届くマイホームはより郊外へと向かい、市内からは遠くなる一方だ。「国と一部の人だけが豊かになり、庶民は蚊帳の外だ」という不満の声も中国国内では高まっている。そのため、郊外の人口は増え、そこに暮らす人たちの通勤ラッシュは非常に混雑を極めている。
 王昆さんも通勤ラッシュに巻き込まれている一人だ。北京市内から彼女の家までは、渋滞をしなければ約34分で着く。ネットショッピング会社で働く王さんには、夫と共働きで2歳の子供がいる。4年前、20年ローンで住宅を購入。夫婦の月収の3割が返済に消えている。「市内は家賃も高いし、家を買うのは絶対に無理です」と、話す王さん。子供が寝ている中、毎朝6時半前には出勤している。
 時間を計りながら、その王さんの通勤に同行してみた。バス停には、すでに通勤客の列ができている。車内に乗り込んだ後に待っていたのは日本の首都圏と変わらない“通勤地獄”。バスは通勤客ですぐに満杯になった。そして、市の中心部へ向かう幹線道路はいつも激しい渋滞だ。席に座れた王さんは、バスの中で一休みしている。
 一方、郊外の地下鉄の駅も入り口から激しく混雑している。並んでいる人に、話を聞いてみると、車両に乗り込むまでに約20分もかかるという。もちろん、車両の中も大混雑で、まさに“すし詰め”状態。ホームも人であふれかえり、危険な状態だ。現在の北京は地下鉄の建設が追いつかず、混雑が悪化する一方となっている。
 現在の中国は、新車の販売でアメリカを大きく引き離し、2年連続の世界一となった。急増する車が渋滞に拍車をかけ、“通勤の足”を直撃している。交通インフラの整備が追いつかないままでの急成長が、渋滞や混雑を悪化させるという悪循環を生んでいる。
 こういった現状を踏まえて、北京市は今年に入り大胆な対策に乗り出した。それは、車のナンバープレートの発行を制限し、抽選で当たった市民だけが車を買えるというもの。つまり、北京ではお金があっても車が買えないということになる。ちなみに、1月の抽選倍率は「10倍」。購入希望者の10人に1人しか車が買えない。3月の倍率はなんと「26倍」で、市民からは「一生車が買えない」という不満の声が上がっている。北京の自動車販売店も、「売り上げは激減です…」と嘆き、店内には閑古鳥が鳴いている。
 さて、一度、バスを乗り換え、市の中心部にあるオフィスに着いた王さん。「今日はいつもより順調で、普段より早く着きました」と話してくれたが、渋滞がなければ自宅から約35分で着く距離が、この日の通勤時間はなんと2時間7分もかかっていた。
 中国政府もこのような庶民の不満の高まりに、危機感を抱いている。中国の国会にあたる、全国人民代表大会の開幕式で、温家宝首相がこのように強調した。
 「人民と大衆が最も関心を寄せ、最も身近で現実的問題を確実に解決しなければならない」
 成長一辺倒から生活の質の向上へ、中国は転換期を迎えている。
日本の昔ですが、あの頃とスピードが違う。。
日本はこれとまた違う形で奈落の底へ向かっています。
このままでいいのでしょうか?